Info file: bull13j.info, -*-Text-*- produced by texinfo-format-buffer from file: bull13j.texi ---------------------------------------------------------------------- GNU ダイジェスト 1992 年 6 月 GNU ダイジェストは、Free Software Foundation から 年に 2 回発行される小冊子で、GNU プロジェクト に関する情報を載せている。 Free Software Foundation, Inc. 電話番号: (617) 876-3296 675 Massachusetts Avenue 電子メイル: gnu@prep.ai.mit.edu Cambridge, MA 02139, USA 目次 ---- GNUスタッフの紹介 Free Software Foundationについて Copyleftとは何か フリー・ソフトウェアのサポート GNU速報 特許改正では充分ではない LPFとは何か 米国政府のデータベース法案 もう一つのフリー・ソフトウェアのサポート・ビジネス GNUカーネル Hurd の特徴 フリー・ソフトウェアを支える第一歩 プロジェクトGNUの進捗報告 Sun上の標準がGNUになる? Andrewツールキットはフリーのままである 日本におけるGNU GNUドキュメンテーション プロジェクト・グーテンベルクがボランティアを募集中 プロジェクトGNU援助希望リスト フリー・ソフトウェアをサポートしてほしい GNUソフトウェアの入手方法 現在配布可能なGNUソフトウェア Emacsテープの内容 言語テープの内容 ユーティリティ・テープの内容     体験テープの内容 X11テープの内容 Berkeley Networking 2テープ VMS Emacsとコンパイラ・テープ マイクロコンピュータ用のフリー・ソフトウェア Free Software Foundation注文票 謝辞 (Thank GNUs) 付録 日本からのGNU情報の入手方法 GNU ダイジェスト **************** GNU's Bulletin (英語原文) は年に 2 回発行される。GNU's Bulletin の複製 希望者は、次のような方法で請求していただきたい(注: 定期購読サービスは ない)。米国郵便局の配達地域内に在住の方{日本からの場合: 返信切手を貼ら ずに宛名とAIR MAILと書いた返信用封筒を送付すればよい。}は、宛名を書い た 10 号サイズの返信用封筒か、あるいは返信先の宛名ラベルを同封する。コ ピー料金として小額の寄付金も含まれていればなお良いが、必須ではない。 Copyright 1992 Free Software Foundation, Inc. Copyright 1992 Mieko Hikichi and Nobuyuki Hikichi 本小冊子 (GNU ダイジェスト) は、英語原文 (GNU's Bulletin) をもとに引地美恵子と引地信之が翻訳し、加筆、 解説したものである。 いかなる媒体でも次の条件がすべて満たされている場合に限り、本小冊子をその まま複写し配布することを許可する。また、配布者は第三者に対して本許可告知 と同一の許可を与える場合に限り、再配布することを許可する。 * 受領、配布された写しに著作権表示および許諾告知が前もって載せ られていること。 * 写しの受領者がさらに再配布する場合、その配布者が本告知と同じ 許可を与えていること。 1992 年 6 月 6 日発行、第 1 版 著者、編集者: Jan Brittenson、Noah S. Friedman、 Robert J. Chassell、 Melissa Weisshaus、Richard Stallman、 Leonard H. Tower Jr. イラスト: Etienne Suvasa 日本語版作成者: 引地美恵子(`h-mieko@sra.co.jp')、引地信之(`hikichi@sra.co.jp') 連絡先住所: 〒102 東京都千代田区平河町1-1-1 株式会社 SRA 電話番号:(03)3234-2611 GNUダイジェスト (日本語版) の定期購読希望者は、ボランティア 作業のため 175 円切手 x n 回 (総額相当の切手ではなく、複数枚 の 175 円切手にて)を本文連絡先の引地美恵子まで送ってほしい。 原則として電話だけの郵送希望には応じかねる。予めご了承いた だきたい。 原作者の意を伝えるべく英語原文の解釈に十分注意を払ったが、な お不明な点については英語原文 (GNU's Bulletin vol. 1 no. 13) を参照されたい。なお、日本のGNUユーザの事情に即した内容を加 筆したため、必ずしも対訳ではない部分があることを予めお断りし ておく。 本小冊子(GNUダイジェスト)は、`texinfo.tex'マクロの日本語版 `jtexinfo.tex' (アスキー版日本語 TeX と NTT 版 JTeX に対応)、 アスキー版日本語 TeX、SONY News レーザ・プリンタで作成・出力 した。 GNU スタッフの紹介 ****************** Michael Bushnell は GNU オペレーティング・システムに関す る作業を行ない、GNU `tar' を保守している。Jim Blandy は GNU Emacsバージョン 19 のリリースを準備し、 Joseph Arceneaux は今後の GNU Emacs のリリースのために有用な作業を行なっている。Roland McGrath はC ライブラリの仕上げと GNU `make' を保守している。 Tom Lord はグラフィック・ライブラリを作成しており、Oleo という GNU 版のスプレッドシートの開発を引き継いでいる。Brian Fox は、 `makeinfo'、`info'、`readline' ライブラリ、`bash' な ど自分が作成した各種プログラムを保守し、`BASH Manual' を書いている。 Jan Brittenson は、C インタプリタに関する作業とGNU `finger' の 保守を行なっている。Mike Haertel は、POSIX に準拠した GNU `grep' を作成し、光学式文字認識に関する作業を開始した。David J. MacKenzie は、GNU の小さなユーティリティ (単独のプログラムで、組み 合わせて用いられない) のほとんどを保守している。 Kathy Hargreaves と Karl Berry は、フォントの作成 (とフォ ントを作成しているボランティアの調整)、フォントを扱うための各種ユーティ リティの作成、Ghostscript の作業を行なっている。Melissa Weisshaus はドキュメントの編集を担当し、`GNU Utilities Manual' の 作業を行なう予定である。 Noah S. Friedman は GNU のシステム管理者である。Lisa `Opus' Goldstein は、Gena Lynne Bean と共に我々のオフィスで奮闘している。Spike MacPhee は ソフトウェアの法律面やその他の管理業務面から RMS(Richard M. Stallman)に助力している。Robert J. Chassell は FSF の事務局兼経理担当 で、我々の出版を手掛けその他の多くの作業をかかえており、Emacs Lisp を 使ったプログラミングのための入門書を書いている。 Richard Stallman は、Cコンパイラの保守や `C Library Manual' の完成に向けての作業など実に多くの仕事をボランティアとして行なっている。 最後に、メイリング・リストや gnUSENET、情報のまとめなど、電子的 JOAT (jack-of-all-trades 何でも屋) をしているボランティアは Len Tower である。 Free Software Foundation の役員構成 * 社長: Richard M. Stallman * 監査役、事務局: Robert J. Chassell * 取締役: Gerald J. Sussman、 Harold Abelson、Leonard H. Tower Jr. Free Software Foundation について ********************************* Free Software Foundation (以下、FSF と称す) は、コンピュータ・プログラム の複写や再配布の制限、理解と修正の制限をなくすことを目的としている。これ らを行なうために、我々は、あらゆるコンピュータ利用の分野において、フリー・ ソフトウェアの開発と利用を促進している。特に、Unix と上位互換性のある 「GNU」 (GNU's Not Unix: GNU は Unix ではない) という名の完全な統合化ソ フトウェア・システムを構成している。このシステムの主要な部分は既に動いて おり、現在それらは配布可能である。 我々の名前にある「free」という言葉は「自由 (freedom)」に属しているもので、 無料を意味する「free」ではない。GNU ソフトウェアの入手にあたって、お金を 支払ってもよいし、支払わなくてもよい。いずれにせよ、GNU ソフトウェアを入 手すれば 2 つの特別な「自由」を得る。1 つは、プログラムを複写する自由と、 友達や一緒に仕事をしている人に分け与える自由である。もう 1 つは、ソース・ コードを公開することによって、人々が思うようにプログラムを変えられる自由 である。さらに、ソース・コードを研究したり、プログラムがどのように書かれ ているかを学習することができる。これでプログラムの移植、改良が可能となり、 変更点を他の人々と共有することも可能になる。(GNU ソフトウェアを再配布す る場合は、複製をとるための実費を請求することができるし、あるいは無報酬で 配布してもよい。) たまたま役に立つフリー・ソフトウェアを配布している組織が他にもある。FSF との違いは、FSFでは新しいフリー・ソフトウェアの開発に集中し、独占的なシ ステムを買う必要性を完全になくしている点である。 GNU を開発する傍ら、FSFは GNU ソフトウェアのテープやマニュアルの作成と配 布を配布手数料のみで行なっている。また、GNU 開発の援助のために免税物資を 受け入れている。FSF の資金源のほとんどがこのような配布サービスで支えられ ている。 Copyleft とは何か ***************** プログラムを自由に配布する最も簡単な方法は、プログラムをパブリック・ドメ インに置き、著作権を放棄することである。しかし、この方法では、誰かが著作 権を主張し、利用に制限が課せられて、著者の意図に反してしまう。これでは、 他の人々のアクセスする権利や自由な再配布を否定することになる。 このような事態を避けるために、我々は GNU ソフトウェアの著作権を斬新な方 法で主張している。典型的なソフトウェア会社はこれらの自由を束縛した著作権 (copyright) を使っている。そこで、我々は前述の自由を守るために "copyleft" を使っている。copyleft は合法手段である。これは、諸権利と 共に複製物を得た人がさらにその複製物に諸権利を含めて再配布すれば、そのソー ス・コードを読み、改良することができるというものである。ソース・コードと 諸権利は法律的に切り離すことはできない。 GNUプロジェクトで使うcopyleftは、著作権告知とGNU一般公有使用許諾書 (GPL: "GNU General Public License") を兼ね備えている。GPL とは、前述の自由 について基本的に述べた複写のライセンスである。また、GNU ライブラリ一般公 有使用許諾書 ("LGPL: GNU Library General Public License") も用意され、 GNU のライブラリを含むものに適用される。このライセンスは、GNU のライブラ リを特定の条件下で、所有者の実行形式にリンクさせることを許可するものであ る。完全な使用許諾書の写しは、配布される全ての GNU ソース・コードや我々 が発行するマニュアルの多くに入っているが、ご希望の方には FSF からその印 刷物を郵送する。 ただし、ライブラリ・ライセンスは、実際には戦略上の後退である。GNU ソフト ウェアを基にしたプログラムは、それ自体がフリーでならなければならないと言っ ているのと同じ意味のライセンスである、ということを強調したい。しかし、ラ イブラリの場合は、フリー・ソフトウェアにおいてのみ用いられるということを 強調すると、フリーなアプリケーションを奨励するどころか、むしろライブラリ の使用を踏みとどまらせるということがわかった。 もし、ライブラリ・ライセンスによって、独占的なアプリケーションの開発者が フリーなライブラリの一層の使用と開発を促進するのであれば、より多くの GNU プロジェクトのライブラリをこのライセンスで保護しようと考えている。 我々は、あなたのプログラムやドキュメントを copyleft で保護するように強く 勧めており、誰にでもそれらを保護することができるように手続きを簡単にした。 GPL の適用方法についての詳細は、GPL の最後に記述されている。 フリー・ソフトウェアのサポート ****************************** Free Software Foundation はいかなる技術サポートをも提供していない。ソフ トウェアは作成しているが、本来の作業に集中した方がよいので、サポートを提 供して生計を立てているその他の人々のために残してある。医者や弁護士が今日 行なっているのと同様にプログラマも、サービスを提供する職業だと考えている。 医者や弁護士の医学的な知識や法律の知識はそれ自体フリーに再配布できるもの で、開業医や弁護士はその配布とサービスに対して課金している。 我々は、サポートやその他のコンサルタント・サービスを提供する人々のリスト を管理している。これを GNU サービス名簿 (GNU Service Directory) と呼ぶ。 このリストは GNU Emacs 配布テープの中のファイル `etc/SERVICE' や GCC 配布テープの中の `SERVICE' に入っている。このディレクトリの写し を入手したい人、あるいはリストに載せてほしい人は我々に連絡していただきた い。 GNU ソフトウェアに欠陥を発見したら知らせてほしい。我々は、アナウンス用と バグ報告や質疑応答用に多くの Internet メイリング・リストを持っている。こ れらのメイリング・リストは、ニュース・グループ `gnu.*'として USENET ニュースのゲートウェイを経由する。 Internet にアクセスできない場合は、電子メイルや UUCP に接続されている USENET ニュースから情報が入手可能である。ローカルな UUCP サイトや商用 UUCP サイトについての問い合わせ先を次に示す。 Anterior Technology, P.O. Box 1206, Menlo Park, CA 94026-1206 USA 電話番号: (415) 328-5615 or Fax: (415) 322-1753 電子メイルl: `info@fernwood.mpk.ca.us' UUNET Communications Services, 3110 Fairview Park Drive - Suite 570, Falls Church, VA 22042 USA 電話番号: (703) 876-5050 電子メイルl: `info@ftp.uu.net' 我々がバグ報告を受け取ると、ソフトウェアをより良くするために、たいていは 問題を解決しようと努力する。我々のバグ修正は、個々に対応しているように見 えるかも知れないが、実際にはそうではない。我々の仕事量はあまりに多過ぎる ので、ソフトウェアやドキュメンテーションの開発や保守のように、全体として 共同体を援助することに焦点を絞らなければならない。個々の対応のために、我々 の本来の作業を棚上げさせてはならないのである。報告されたバグを我々が解 決していなければ、バグ報告用のメイリング・リストを読んでいるその他の多 くのユーザから、回答を得られるかもしれない。さもなければ、サービス名簿を 利用してほしい。 従って、インストール・スクリプトがどのように動かないのか、マニュアルのど の部分が不明確なのか、といったことを我々に知らせてほしいのであって、ソフ トウェアのインストール方法や使い方を我々に尋ねないでほしい。 *『さらに遠くが見えたのは、巨人の肩の上に立っているからである。』* -Isaac Newton GNU 速報 ******** * Mach用のフリーなUnixエミュレータ CMU の Randall Dean は Mach 用の BSD をベースとしたフリーな Unix エミュレータを完成させつつある。まだ動作は安定していないが、Hurd が 使えるようになる前に、より安定したものになれば、それを使って完全なフリー GNU システムを作成できるかもしれない。次号の「GNU ダイジェスト」を発行す る前にこのエミュレータをテープで配布する予定はない。このプロジェクトに ついて問い合わせないこと。時期が来ればアナウンスする。 Roland McGrath はこのエミュレータ用に GNU C ライブラリを移植 している。 * Berkeley Networking 2 をリリース FSF では現在、BSD networking 2 release をテープで配布している(「現在配布 可能な GNU ソフトウェア」の「Berkeley Networking 2 テープ」を参照)。 * 配布テープの再構成 我々の配布テープのソフトウェアの構成を変えた。昔のコンパイラ・テープを二 つに分けて、言語テープとユーティリティ・テープにした。Emacs テープに入っ ていたソフトウェアをこれらの二つのテープに移動したものもある。さらに、一 時的に「体験テープ」も用意している。「現在配布可能な GNU ソフトウェア」 参照。 * FSF の Exabyte カセットによる配布 現在、FSFではExabyteの8mmカセット・テープでの配布もはじめた。詳細は「FSF 注文票」を参照。 * GNU マニュアルの新しい綴じ方 いくつかの GNU マニュアルでは、ソフトカバーの本のように、表紙を増やさな いで開いたまま平らに置く新しい綴じ方を採用した。新技術である。これによっ て綴目にしわが寄らずに机の上に平らに置くことができる。それぞれの本の 背表紙の内側に布を使い、外側には厚紙の表紙を付けて、もともとの紙表紙の本 が破れたり、しわが寄らないようになっている。現在、`GAWK' や `Bison'、`GDB'、`Emacs Lisp Reference'がこの方法を採用し ている。それ以外の GNU マニュアルも、別の技術で平らに置けるように綴じて いる。 * GNU Fortran のメイリング・リスト GCCのフロントエンドとしての Fortran に興味がある人のためにメイリング・ リストがある。参加方法は、 `info-gnu-fortran-request@prep.ai.mit.edu' にメイルすればよい。 なお、このフロントエンドは、アルファ・テストに向けてだいぶ作業が進んでい る。 * 旧ソ連でのGNU作業が進行中 旧ソ連では GNU プロジェクトに関する作業が進行している。「GNU 開発 センター」では GNU のドキュメントをロシア語に翻訳している。最近、 Modula-2-to-Cを翻訳した初版が完成した。また、その他のプロジェクト では SQL データベース 管理システムの作業も行なっている。 *『さらに遠くが見えなかったのは、私の肩の上に巨人が立っていたからであ る。』* -匿名 特許改正では充分ではない ************************ Richard Stallman 人々がソフトウェア特許の問題を最初に調べると、悪名高い例が示され注目をあ びた。特許は、すでに広く知られている技術を網羅している。計算する前にはまっ たく変数を使わない(スプレッド・シートの「自然な順番での計算」)ような式や ビットマップ・ディスプレイの内容修正に用いられる排他的論理和の使用などで ある。 この例に焦点を合わせると、それ以外の問題が無視されてしまう可能性がある。 特許システムは基本的には正しく、個々の法律の正しい適用のためには改正する 必要がある、という見解に注意を向けさせている。 しかし、正しく適用すれば、ソフトウェア特許の問題を解決できるのだろうか? 例を考えてみよう。 1991 年 4 月、ソフトウェア開発者の Ross Williams が一連のデータ圧縮 プログラムのリリースを開始した。自分で新しいアルゴリズムを考案し、それを 使ったプログラムである。すぐに、実行速度と圧縮率の点にユーザは引き付けら れた。 引き続いて 9 月、そのうちの一つを FSF がリリースしようとしていた一週間 前に、新しく交付された特許 (番号 5,049,881) によって、米国におけるそれら のプログラムの使用が停止された。 現在の特許の法律では、一般にそれらのプログラムを使えるかどうか (つまり特 許が無効かどうか) は、「先行の技術」があるかに依存する。特許の出願(6月18 日)以前に、基本的なアイデアが公示されたかどうかである。1991 年 4 月 Williams の発表はその日を過ぎていたので、それは勘案されない。 1988 年から 1989 年にかけて、University of San Franciscoの学生が同様 のアルゴリズムについて授業のレポートで報告していた。しかし、このレポート は公表されていなかったので現在の法律ではこれは勘案されない。 正しい適用のために特許システムが改正されたとしても、この場合に何の役にも 立たない。特許システムの法律下では、6 月 18 日出願の特許は有効とみなされ る。先行技術がないからである。特許の発効 (発明の発生) 基準とするにはあま りにも不明瞭である。(ほとんどの特許と同様に、世界を震い上がらせるわけで も些細なものでもないが、その中間程度である。)これは法律自体の欠点であり、 運用上の問題ではない。 米国の法律システムでは、特許は社会と個人の契約を意味し、社会は技術の開示 により利益を得ることを想定している。そうしなければ、その技術は決して開示 されない。特許番号 5,049,881 を認めても、社会はまったく利益を得ないこと は明白である。 現在の法律では、Williams のプログラムを使える可能性は、1990 年 6 月 18 日 以前に同じアイデアを誰かがたまたま公表したかどうかにかかっている。つまり、 運に左右されていることになる。このシステムは法律業務を促進するためには有 効であるが、ソフトウェアの進歩を阻んでいる。 さらにより多くの先行技術の存在を探すよう特許庁に教えれば、とんでもない誤 りをいくつか防ぐことができるかもしれない。しかし、大きな問題は残されたま まである。コンピュータ利用分野での、いろいろな新しいアイデアに対する特許 獲得が問題である。例えば、Williams と別の人が独立に開発したという点であ る。 このままではソフトウェアを泥沼に追いやるだろう。一般に、革新的なプログラ ムでさえ数十の、それほど新しくない技術や特徴を使っており、それらは個々に特 許になっているかもしれない。そういったアイデアを我々が利用できるかどうか の可能性は、運次第である。たいていは運が悪く、ほとんどのプログラムは非常 に多くの特許侵害から逃れられないだろう。特許の迷路をうまく乗り切ることは、 プログラムの作成よりも困難になるだろう。経済学者は「ソフトウェア特許はビ ジネスにとって単なる障害でしかない」と述べている。 何か行動を起こしたいのなら、「プログラミング自由連盟」に参加するのが最も 簡単な方法である。 LPF とは何か ************ プログラミング自由連盟 (LPF: League for Programming Freedom) では、 ソフトウェアを書く自由の保護を目的としている。この自由は、 "look-and-feel" インタフェースの著作権訴訟と、ソフトウェア特許によって 脅かされている。LPF はフリー・ソフトウェアや FSF を支持しているのではな い。 連盟のメンバーには、プログラマや社会人、学生、教授、FSF のスタッフ、 数社のソフトウェア会社が登録されている。 連盟への申込用紙からの抜粋を次に示す。 プログラミング自由連盟は、プログラムを書く自由を取り戻すこと に時間を割こうとする教授や学生、社会人、プログラマ、ユーザによる草の根的 な組織である。この連盟は、個々のプログラムを著作権で保護した連邦議会のよ うな合法的な組織に反対しているわけではない。我々の目的は、特に関心のある ものに対して判決が下された最近の変遷に反対することである。 年会費は、プログラマや管理職、教授は 42 ドル、学生は 10.50 ドル、その他 は 21 ドルである。 申込方法は、次の項目に答えた用紙と一緒に小切手を連盟へ送ってほしい。 * あなたの氏名と電話番号 (自宅か勤務先、あるいは両方)。 * 連盟からの郵便物の宛先 (自宅か勤務先かを明記)。 * あなたの勤務先会社名と役職。 * あなたの電子メイル・アドレス。これがあれば政治的な運動をする際に連絡をと ることができる。(連絡してほしくなければその旨を明記のこと。いずれにせよ 電子メイル・アドレスは必須。) * 世間に印象づけるために、LPF を支持してくれるあなた自身について。 * LPF の活動を援助できるか、したいかどうか。 連盟の住所を次に示す。 League for Programming Freedom 1 Kendall Square - #143 P.O. Box 9171 Cambridge, MA 02139 USA Phone: (617) 243-4091 Email: `league@prep.ai.mit.edu' まだ決意しかねる方は、詳細な情報を LPF へ請求する手紙を書くか、 あるいは Internet メイルにて `league@prep.ai.mit.edu' へ問い合わせていただきたい。 LPF は Ashton-Tate 社へのボイコットを終結した ********************************************* Ashton-Tate社 (現在 Borland 社の子会社)は、Fox に関するユーザ・イン タフェース訴訟を打ち切る申請を提出した。従って、プログラミング自由 連盟 (LPF) では Ashton-Tate 社製品のボイコット運動を中止した。 米国政府のデータベース法案 ************************** 連邦議会に提案された法案 (H.R. 2772) によって、政府印刷局(GPO: Government Printing Office) に政府データベースの広域情報ネットワーク (WINDO) を構築させ、個々のユーザが数多くの政府のデータベースを読むこ とができるようになるといいのだが。それらには、FDA 掲示板や経済掲示板、企 業内容の開示の出願申請の連邦証券取引委員会 (SEC) のEDGARデータベース、 特許庁の自動特許システム、官報、連邦議会の記録、下院の LEGIS システ ム、国会図書館の SCORPIO システム、国務省の刊行物や連邦議会の証言、 その他多くの米国政府の情報システムがある。 GPO は、利用者には普及のための低料金で、ダイヤル方式のモデムやInternet による方法など一番よく使われているアクセス方法でこういったサービスを提供 するだろう。ユーザの反響によってさらに促進されるだろう。法案 H.R. 2772 は、1991 年 6 月に下院議員の Charlie Rose (D-NC) によって紹介された。こ の法案を支援するために、連邦政府議員へ手紙を書くか、あるいは電話をかけて ほしい。また、下院議員の Rose 氏に手紙か電話で、課税対象資産プロジェクト (Taxpayer Assets Project) に氏の支援を示し、その写しを送るように働きかけ てほしい。WIDO に関する詳細な情報は、次の所へ問い合わせることができ る。 American Library Association Taxpayer Assets Project Washington Office P.O. Box 19367 110 Maryland Avenue, NE Washington, DC 20036 Washington, DC 20002-5675 電話番号: (202) 387-8030 電話番号: (202) 547-4440 ファクシミリ: (202) 234-5176 ファクシミリ: (202) 547-7363 Bitnet: `love@pucc' Internet: `508-0621@mcimail.com' Joint Committee on Printing 818 Hart Senate Bldg. Washington, DC 20510 電話番号: (202) 224-5241 ファクシミリ: (202) 224-1176 もう一つのフリー・ソフトウェアのサポート・ビジネス ************************************************** Russ Nelson (Crynwr Software社、`nelson@crynwr.com') Crynwr 社の一連のパケット・ドライバは PC Magazineの1991年優秀技術賞の決 勝にまで残った、copyleft で保護されたソフトウェアである。パケット・ ドライバは、PC の Ethernet ドライバと その他のドライバ・ソフトウェアの埋め草ルーチン(互換性のないルーチン間の インタフェースを取るためのもの) とを合わせたものである。パケット・ドライバはほと んど全ての TCP/IP ソフトウェアでそのまま用いられる。また、Novell 社の NetWare や Banyan 社の Vines、Performance Technology社の PowerLAN と一緒 に用いることもできる。ほぼ 4 年間に、貢献した人々の数は約 2 ページもの リストにおよぶ。私の会社である Crynwr Software社は設立してまだ 6 ヶ月で、 有料のパケット・ドライバ・サポートが私の家族にとって唯一の支えである。 Crynwr Software 社は、copyleft で保護されたソフトウェアのベンチャー・ビ ジネスで成功したもう一つの例である。 *『科学の分野では、巨人の肩の上に立って見ていたが、 今度はその巨人と並んで座る特権を与えられている。』* -匿名 GNU カーネル Hurd の特徴 ************************ GNU オペレーティング・システムのカーネル作業が続いている。この作業には一 連のサーバのコーディング作業も含み、GNU Hurd と呼ばれている。CMU から配 布されている Mach 3 マイクロカーネルの上位で動作する。Mach マイクロカー ネルは、タスクの抽象化 (1つのタスク内に複数のスレッドを提供する) や強力 な IPC (注: プロセス間通信)、仮想記憶システムを提供している。BSD の高速 ファイル・システム(Fast Filesystem) の実現が順調に進んでおり、夏には必要 最小限のシステムを立ちあげられるだろう、と考えている。 GNU Hurd の特徴の一つに、非特権ユーザが、自分で設計したファイル・システ ムをディレクトリ構造に安全な方法で追加することができる機能がある。この方 法で、いろいろな「ファイル・システム」を実現できるようになるだろう。簡単 な例として、透過的な FTP や透過的な tar アーカイブが考えられる。 ( `tar tfv foo.tar' のようなおまじないを使わないで、tar アーカイブ がマウントされているディレクトリへ`cd' して `ls' するような場 合を考えてみよう。) 変なアイデアを考え出す人もいるが、この設計上の選択は、 意外に有益なものとなる。これは Hurd が備えている特徴であり、他のコピー・ フリーな、あるいはそれに近い OS には見られない。商用のシステムでも非常に まれで、あったとしても Unix とはまったく違う。 現時点では、最初のアルファ・テスト・リリースに、ネットワーク・サポートを 組み込むことができるかどうかは確かではない。できない場合は、アルファ・リ リース後にネットワークの実現を最優先項目とする予定である。計画では、(現 在多くのモジュールがフリーになっている) BSD カーネルからネットワーク・モ ジュールを組み込み(dropped in)、最小限の変更で使えるようなライブラリを作 成する。このような仕様の高性能のネットワーク・サーバを実現するにはさらに 多くの作業が必要である。 4.4 BSD や POSIX.1 とのソース・コード・レベルの互換性は、GNU C ライブラ リで提供する予定である。バイナリの互換性については、数機種のマシン用に用 意されているMachのシステム・コール・エミュレーション・メカニズムを採用し て対応する。Unix については、カーネルで実現されている多くの関数も C ライ ブラリで対応する予定である。これにより、厳密に考えて気に入らないシステム・ コールがあれば、容易に差し換えることが可能となる。シグナルの状態を変更す るようなシステム・コールは、ライブラリ・レベルでのみ完全に実現可能で、よ り高速なものとなる。 Hurd の設計について討論するメイリング・リストがある。OS の専門家や経験豊 富な Unix のウィザードを歓迎する。インタフェースの詳細化を手伝ってほしい。 フリー・ソフトウェアを支える第一歩 ********************************** GNUソフトウェアが有益であることがわかり、特にソース・コードをフリーにする ことで何らかの利点を得たならば、そのことを他の人に伝えてフリー・ソフトウ ェアを広めるようなそんなサポートを希望する。例えば、出版物や内部のプロジ ェクト報告書で次のように述べる。 「`fubar'ユーティリティを修正することができたので、我々の固有の要 求が満たされた。それはフリー・ソフトウェアだからこそ成功したので ある。それによって、XYZプロジェクトの作業が予定より半年も早く完了した。」 ユーザや管理者、友達に知らせてほしい。そして、そのコピーを我々のところに 送ってほしい。よろしく! プロジェクト GNU の進捗報告 *************************** * コンフィギュレーション・システム GNU ソフトウェアを多くのプラットホーム上でコンパイル、実行できるようにす るために、異なる環境のプラットホームの仕様のコードを挿入する場合がよくあ る。これは、ソフトウェアを作成しようとするプラットホームのタイプを調べる のに有効である。GNU ソフトウェア・パッケージのコンパイル時のコンフィギュ レーション方法を統一させるために、現在詳細をつめている。GNU ソフトウェア のいくつか、あるいは全てを同じ方法でコンフィギュレーションできるようにな るだろう。特に、全ての GNU ソフトウェアでは、同じマシン・タイプやシステ ム・タイプに同じ名前をつける予定である。 このコンフィギュレーション方法を用いると、1 つのディレクトリで、複数の GNU パッケージを単一コマンドで作成できるようになる。完全なシステムが完成 した暁には、全てのコンフィギュレーションを一度に行なうことが可能となるだ ろう。さらに、GNU システムを作成する際に、個々のコンフィギュレーションを 学ぶ必要がなくなるだろう。 開発ツールに対してこの方法を使うと、ホスト・システムとターゲット・システ ムを記述するだけでクロス開発システムを容易に作成することができる。 GCC バージョン 2 と GDB バージョン 4 は、その他の小さなプログラム群と同 様に新しいコンフィギュレーション方法を採用している。来年以降、その他のソフ トウェア全てに対して、この新しい方法をサポートする予定である。 * GNU Emacs バージョン 19 は今年末にはベータ・テスト段階になるだろう。 次のような多 くの特徴が組み込まれる。 変更前後のホック、 ソース・レベルの GNU Emacs Lisp のデバッグ、 X の選択処理 (CLIPBOARD 選択も入っている)、 スクロール・バー、ヨーロッパ文字セットのサポート、 浮動小数点数、 バッファごとのマウス・コマンド、 X リソース・マネージャとのインタフェース機能、 マウス・トラッキング、 Lisp レベルの関数キーの定義、 複数の X ウィンドウ機能 (Emacs に対する「スクリーン」)、 新しい入力システム (Lisp オブジェクトの形式で全ての入力を処理する)、 新しいバッファ割り当て (バッファの消去時に、その領域をシステムに戻せる新 しいメカニズム)。 現在、入力ストリームは文字列ではなく Lisp オブジェクト列になっている。 これによって、マウス・クリックやファンクション・キー、メニューの選択など の合理的な表現が可能になる。 マルチウィンドウ Emacs について、最初のフィードバックをくれた Alan Carroll (Epoch の作成者) とその他の人々に、そしてバージョン 19 の Emacs Lisp ライブラリの仕上げを手伝ってくれた Eric Raymond に感謝する。 Emacs 18 での単純なバグ修正といった保守は引き続き行なっている。 * C コンパイラ GNU C コンパイラ (GCC) バージョン 1.40 が最新であるが、1.41 がまもなくリ リースされるだろう。GCC は ANSI C の規格をサポートしている。 バージョン 1 は安定しているが、まだバグを修正している。次のような CPU タ イプをサポートする。680x0 や Vax、32x32、80[34]86、Sparc (Sun-4)、SPUR、 Convex、MIPS、Tahoe、Pyramid、Alliant。適切なアセンブラを使えば、 `a.out' や COFF 形式のオブジェクト・ファイルをサポートすることがで きる。 GCC バージョン 2 のベータ・テストを開始している (「体験テープの内容」を 参照)。数種類の新しいフロントエンドを作成しているが、まだ GCC の一部では ない。Ada 9X 標準委員会で、Ada のフロントエンドヘの基金を集めている。こ れは非常に複雑な言語なので、その作成には多くの時間を要するとみている。 Fortran のフロントエンドを現在統合しているが、これもすぐにはリリースでき ないだろう。ボランティアが Modula 3 と Pascal のフロントエンドの作成を開 始している。その他の言語を作成しているという話も聞いているが、Cobol のフ ロントエンドを作成しようというボランティアはまだ現われていない。 * バイナリ・ユーティリティ Cygnus Support 社の Steve Chamberlain とその他の人々は、(リンカを含む) バイナリ・ユーティリィを書き直した。GDB で用いられているバイナリ・ファイ ル記述を基にしている。全てのツールを、ターゲットとは異なるホスト・マシン 上で動作させることができる。(つまり、クロスリンカをサポートする。)さらに、 COFF やその他のオブジェクト・ファイル形式もサポートしている。いろいろな 形式のファイルを一度に扱える。AT&T リンカ・コマンド言語と上位互換のもの を解釈し、メモリ上のセグメントを制御し、非常に汎用性がある。 バージョンは 1.94 で、ベータ・テスト版である。大きな変更はない。 Per Bothner (`bothner@cygnus.com') がこのリリースを担当している。 * C ライブラリ C ライブラリの作業は、Roland McGrath とその他の人々が続けている。ライブ ラリは ANSI C-1989 と POSIX.1-1990 の関数を全て含む。現在、POSIX.2 と Unix 関数の組み込み中である。ライブラリには ANSI や POSIX 1003.1、POSIX 1003.2 の他に、BSD や System V のほとんどの関数がある。Mike Haertel は `malloc' の高速なバージョンを作成した。GNU 正規表現関数 (`regex') は POSIX.2 の規格をほとんど満たしている。(システム・コー ルを含む) ライブラリのマニュアルはほとんど完成している。 GNU `stdio' は、2〜3 個の C 関数を新たに記述すれば新しいストリーム を定義することができる。`fmemopen' 関数は、文字列上でストリームをオー プンするためにこの方法を採用している。必要に応じて文字列を拡張できる。自 分で `printf' 形式を定義し、自分の書いた関数を使うことも可能である。 ユーザからの入力でフォーマット文字列を安全な方法で処理する方法も考えられ る。例えば、`printf' のような関数を他の言語向けに用意する、等。拡張 `getopt' 関数は、長い名前のオプションの解析のために、多くの GNU ユーティリティ内で既に用いられている。 バージョン 1.03 は、Sun-3 や Sun-4 (SunOS 4.1) と HP 9000/300 (4.3 BSD) 上で動作する。バージョン 1.04 では、MIPS DECstation (Ultrix 4.2)の移植 や i386/i486 (System V と BSD) の拡張サポートが入る予定である。 * GNU デバッガ GNU ソース・コード・レベルのデバッガ GDB は C 言語と C++ 言語をサ ポートし、GNU C コンパイラと共に配布される。 GDB バージョン 4.5 はベータ・テスト版である。IBM RS6000 や AMD 29000、 Intel 960 を含むいくつかの新しいマシンに移植されている。「バイナリ・ファ イル記述」に従って、オブジェクト・ファイルとシンボル・テーブルを読み込む。 そのために、GDB が 1 つあれば、複数のオブジェクト・ファイル形式 (例えば `a.out' や COFF) のオブジェクトをデバッグすることが可能となる。その 他の新しい特徴としてコマンド言語がある。ウォッチ・ポイント (式の値が変更 されたらブレークする) や (GCC バージョン 2 で採用されている) 割り込み処 理、SunOS の共有ライブラリ、C++ の多重継承がある。 * JACAL Aubrey Jaffer は、JACAL の新バージョンのリリースを準備している。これは数 式処理システムで、定数や変数、根基、根基と代数関数、微分、無限回連続微分、 ホロノミック関数から構成される一価関数や多価関数の代数式の操作や簡単化を 対象とする。さらに、これらのオブジェクトのベクトルや行列もある。 JACAL は Common Lisp や Scheme 上で動作する。 (IEEE P1178 や R4RS を満たす) C で記述されたバージョンの Scheme が JACAL と共に配布されている。 VMS や MS-DOS、Unixなどの類似システム上で動作する。 「プレリリース」ソース・コードは anonymous FTP で入手可能で、 `martigny.ai.mit.edu' の `/archive/scm' ディレクトリの `jacal0-4.tar.Z' と `scm3c13.tar.Z' ファイルである。 FSF ではまだこれをテープで配布していない。IBM PC 用のフロッピー・ディ スクを希望する場合は、Aubrey Jaffer、84 Pleasant St.、Wakefield MA 01880、 USA 宛てに 60 ドル(i386 用は 65 ドル)を送ればよい (注: これは米国内対象 の料金である)。 * Ghostscript Ghostscript の現在のバージョンは 2.4.1 である。出力装置やファイル (パイ プを含む) の解像度をコマンド行から指定する機能や、多くの新しい出力装置、 ファイル形式(PBM/PGM/PPM や GIF、PCX)、より多くの PostScript レベル 2 サ ポート、文字の描写の改良、標準 Adobe メトリックスの Ghostscrpt フォント での利用などである。 Ghostscript 2.4.1 は現在、PostScript のコマンドを受け付け、X ウィンドウ 上で描画したり、出力用のファイルを作成する。GNU のボランティア Tim Theisen、`ghostview@cs.wisc.edu' が複数ページのファイルを扱う プリビューを作成した。Ghostview という名前で、Ghostscript の上位に位置す る。 (Postscipt 言語を扱いたくないクライアントのために) C 言語の呼び出し可能 なグラフィック・ライブラリも入っており 、IBM PC や EGA、VGA グラフィック を扱う IBM PC とその互換製品もサポートしている。(但し、これについては FSF のスタッフに尋ねないでほしい。我々は PC を使っていないし、PC マシン を習得する時間もないからである。) * groff James Clark は `groff' (GNU `troff' とその関連プログラム) を完 成させた。現在、バージョン 1.05 が配布可能である (「ユーティリティ・テー プの内容」を参照)。この新しいリリースには、Joergen Haegg (`jh@efd.lth.se') からの寄付である `-mm' マクロが入っている。 `groff' は C++ で記述されており、GNU C++ (バージョン1.40.3 以降が望ましい) を使ってコンパイルする。 今後発見されたバグは修正するが、新しい開発は現在予定していない。しかし、 `groff' ユーザには拡張コードを寄与するように奨励している。最も必要 な作業は、ドキュメントの完成、`grap' エミュレーション (グラフ用の組 版 `pic' プリプロセッサ)、`pm' のようなページ記述ポストプロセッ サ (`Computing Systems' 2:2 を参照)、`pic' 用の出力クラスであ る。これを用意すれば `pic' を Texinfo に統合することが可能となる。 James より、この場を借りてバグを報告してくれた全ての人々に感謝する。 バグ報告は、引続き `bug-groff@prep.ai.mit.edu'宛てである。 * GNU グラフィック GNU グラフィックは、ASCIIデータやバイナリ・データから plot ファイルを生 成する一連のプログラムである。Tektronix 4010、PostScript、X ウィンドウ・ システム、またはそれと互換のウィンドウ・システムの出力ドライバをサポート する。 GNU グラフィックの新しいバージョンは、アルファ・テストである。改良点 は、 マニュアルの改訂、`graph' や `xplot'、`plot2ps' の新しい 機能、ln03 や TekniCAD TDA ファイル形式のサポート、`spline' プログ ラムの差し替え、`graph' や `plot' を用いたシェル・スクリプトの 例、統計ツールキットの追加、インストール用 configure の利用である。 既存の移植部分に関して再テストが必要である。SparcStation 以外の移植やテ ストの支援が可能な人は、Rich Murphey (`Rich@rice.edu') まで 連絡してほしい。 * Texinfo 2 Texinfo バージョン 2 パッケージには、GNU Emacs 用の拡張 Texinfo モードや 清書コマンドの新バージョン、`Texinfo Manual' バージョン 2 が入って いる。新しいマニュアルは、バージョン 1 よりも完成度が高く、50 以上の新し いコマンドを網羅している。手で入力していた退屈な作業の自動化、ノードやメ ニューの生成、更新コマンドが、現在 Texinfo モードに採り入れられた。新し い清書コマンドには `makeinfo' が入っており、GNU Emacs とは無関係な 単独の C 言語で記述されたプログラムである。Texinfo パッケージはベータ・ テストを終えようとしている。 Sun 上の標準が GNU になる? ************************** Sun Microsystems は「オープン・システム」のパイオニアと呼ばれる会社の一 つであった。今や新しい方法で業界をリードしている。Unix の OS には C コン パイラをバンドルしないと発表したのは、大きなワークステーション・メーカで は最初である。その他のワークステーション・メーカもこの方法を採用するとの 発表があった。 コンパイラをバンドルしないという Sun の決定は、我々に新しいチャンスをも たらした。GNU C コンパイラが Sun 用の新しい標準のコンパイラになり得る。 Cygnus Support 社は、FSF とその他のフリー・ソフトウェア開発者の協力のも とに、Solaris のプラットホーム上に GNU C コンパイラと関連ソフトウェア (GNU asや gdb、おそらく ld も必要であろう) の移植計画を発表した。 Cygnus は 150 件の配布先を募集している。1 件につき 2,000 ドル(Sun の CPU 3 個に対するコンパイラのライセンス料とほぼ同じ) の寄付を呼びかけ、必要 な作業の基金とする。(応募した人は商業ベースのサポートを一年間受けられる。) 結果としてこれが完成すれば、他の GNU システムと同様にフリー・ソフトウェ アとなる。また、FSF への寄付金も 75,000 ドルに増える。 これは、配布のメリットを示し、ユーザに基金を募り、ソフトウェア開発を行な う最初の試みである。詳細な情報は、Cygnus Support 社 (電話番号: (415)322-3811、電子メイル: `solaris-compiler@cygnus.com' へ問い合 わせていただきたい。 Andrew ツールキットはフリーのままである *************************************** Andrew ツールキットは拡張性に富んだオブジェクト指向のツールキットで、 グラフィック・ユーザ・インタフェースとアプリケーションのパッケージから構 成される。このツールキットを広範囲に使っているアプ リケーションとして、Andrew Message System (AMS) がある。 FSF はこのツールキットを「オプション」 の X ウィンドウ・テープに 入れて配布している。 最近、フリーなツールキットの存在について数人から質問された。これがそれに 相当するだろう。Andrew ツールキット・コンソシアムでは、ツールキットや AMS を自由に使うことができ、再配布可能なものにし続ける予定である。しかし 少し引っかかる(引っかかっている)。コンソシアムの会員のほうが早期に、かつ 頻繁に最新バージョンを入手しているからである。このような方法で、コンソシ アムの会員に引き続き会員になるよう奨励している。 日本における GNU **************** 引地美恵子 (`h-mieko@sra.co.jp') と引地信之 (`hikichi@sra.co.jp') は、日本で GNU プロジェクトに関する作業を続 けている。彼らは、GNU 情報の翻訳、コラムの執筆、寄付の呼びかけ、そして GNU について人々の相談にも答えている。GNU 一般公有使用許諾書、バージョン 1 の日本語版は完成している。 日本語化された Emacs と Epoch の各種バージョンが (注:日本から) 現在、 入手可能である。`nemacs' (Nihongo Emacs) と `nepoch' (Nihongo Epoch) のいずれもが、日本では広く使われている。 Emacs の一種である Mule (MULtilingual Enhancement of GNU Emacs) は、一度 に多くの文字コードを扱うことができる。Mule で提供される機能は、最後には FSF バージョンの Emacs に組み込まれる予定である。半田剣一 (`handa@etl.go.jp') が MULE のベータ・テストを行なっており、 `sh.wide.ad.jp:/JAPAN/mule' や `etlport.etl.go.jp:/pub/mule' からソース・ファイルを FTP するこ とができる。 なるべく GNU ソフトウェアの注文は直接 FSF へ発注してほしい。150 本の テープの注文で 1 人のプログラマを 1 年間雇うことができ、結果としてより多 くのフリー・ソフトウェアが作成されるからである。他に、日本の多くのグルー プが GNU ソフトウェアを配布している。それには、JUG (PC ユーザ・グループ)、 日経 BP 社やアスキー (出版社)、富士通の FM Towns ユーザ・グループなどが ある。anonymous UUCP による配布も日本で行なわれており、その UUCP につい ての詳細は `toku@dit.co.jp' へ問い合わせのこと。FSF では `nemacs' も `nepoch' も配布していない。 (株)ビレッジ・センターでは、`GNU Emacs Lisp Reference Manual' の 日本語訳を印刷し、さらに Texinfo 形式のソース・ファイルを各種の電子 掲示板にアップロードしている。彼らはマニュアルの配布によって得られた 利益の一部を FSF に寄付してくれている。彼らの住所を示す。〒101 東京都 千代田区三崎町 3-1-16 (アメレックス・ビル 2 階) 日本の商用パーソナル・コンピュータ・ネットワークで通信するグループでは、 MIPS アーキテクチャの CPU を使い、copyleft で保護したハードウェア設計図 (回路図) と関連ソフトウェアを作成、配布している。`t2' と呼ばれる OS で、GCC と GDB をシステムのコンパイラやデバッガとして採用している Unix のサブセットである。 日本におけるGNUソフトウェア・サポート ------------------------------------- 日本初の GNU ソフトウェア・サポート会社が設立されようとしている。社名は Wingnut である (Fax のみ: 03-3942-5174)。組織を立ちあげようとしている 人々は GNU 宣言によって励まされた。Wingnut では 2 種類のサービスを提供 する予定で、GNU ソフトウェアの移植とカスタマイズ、そして (GNU ソフトウェ アのインストール方法などを含む)技術的な質問に答えることである。 *『コンピュータ科学の分野では、お互いの足を踏んでいる。』* -匿名 GNU ドキュメンテーション ************************ GNU マニュアルでは基礎的な概念について説明し、各プログラムの全ての機能の 使い方やコマンドの使い方例を示している。GNU マニュアルは Texinfoソース・ ファイルとして記述され、ハードコピー用と、メニュー指向の Info システムでア クセスできるオンライン形式の両方に変換される。これらは我々のソフトウェア と共に提供され、製本されたマニュアルとしても配布している。詳細は 「FSF 注文票」を参照のこと。 Emacs Manualは、GNU Emacsの使い方について説明したものである。マニュ アルには、アウトライン・モードや正規表現の検索、CやLispなどの言語を使っ たプログラム作成に便利で特殊なモードの使い方、等の高度な使い方も載ってい る。 Emacs Lisp Reference Manual は、プログラミング言語 GNU Emacs Lisp に ついて詳説したものである。データ・タイプ、制御構造、関数、マクロ、構文表、 検索と一致、モード、ウィンドウ、キーマップ、バイト・コンパイル、マーカー、 オペレーティング・システム・インタフェース、等が載っている。 Emacs Calc Manual は、Calc の入門編とリファレンス編の両方が載ってい る。一般演算子の使い方、Calc による代数や計算、その他の数式の使い方、 Calc の拡張方法について説明している。 Texinfo Manualは、オンラインの Info ドキュメンテーションとハードコピー の両方を生成するのに用いられる記述言語について説明したものである。表や箇 条書、章、ノード、索引、相互参照の作り方だけでなく、GNU Emacsによる Texinfoモードの使い方や誤りの見つけ方も載っている。 GDB Manualは、GNUデバッガの使い方について説明したもので、デバッ ガの制御下におけるプログラムの実行方法、プログラムの実行中の データの表示や変更、制御の流れの変更方法について書かれている。また、 GNU Emacs 上でのGDBの使い方についても載っている。 GAWK Manual は、GNU 版 `awk' の使い方について説明したものである。 `awk'を使ったことのない人を対象とする。この強力な文字列操作言語の特 徴は全て網羅されている。 Bison Manualは、C 言語のプログラムに変換する文法の書き方について説明 したものである。構文解析について予備知識のないユーザを対象とする。 Make Manualは、他のプログラムを部分的に再コンパイルして使う GNU `make' プログラムについて説明したものであ。マニュアルには、makefile の書き方、プログラムのコンパイル方法、プログラムの個々の部分の依存関係を 作る方法も載っている。 Termcap Manual には、「ユーザが知りたかったことの2倍」のことが書い てあるとよく言われる。これには、`termcap' のデータベースの形式、端 末の性能についての定義、端末の仕様の探し方についての説明が載っている。こ のマニュアルは主にプログラマを対象とする。 プロジェクト・グーテンベルクがボランティアを募集中 ************************************************** プロジェクト・グーテンベルクでは、英文の電子テキストを作成、配布を促進し ている。目標は 2001 年までに一番読まれた使い古しの本を一万冊集め、縮小す るつもりである。今、電子的な編集ができるソース・テキストとして利用可能な 書籍に関する著作権情報を集めてくれるボランティアを2〜3 人募集している。 このような作業 (あるいはその他の方法においても) 興味のある方は、Mary Brandt Jensen (電子メイル: (`mjensen@charlie.usd.EDU')、電話番号: (605) 677-6363) へ問い合わせていただきたい。 プロジェクト GNU 援助希望リスト ******************************* 次に示す援助を望んでいる。 * この GNU's Bulletin (英語版) をトレード・ショウやテクニカル・コンファレ ンスで配布してくれるボランティア。調整のために、表紙に記載の電話番号へ 問い合わせていただきたい。 * 386 か 486 搭載の PC-AT 互換のマシンと最低 200M バイトのハードディ スク、Ethernet カード。 * Sun-3 用の QIC-150 のカートリッジ・テープ装置を 1 台と 300M バイト以上の SCSI ディスクを 1 台、300M バイト以上の SONY News の SCSI ディスク、フロッ ピー・ディスクのコピーと検査のためのマシンを 1 台、19 インチの棚を 1 台、 Exabyte テープ・ドライブを 1 台、Sun-4/110 用のカラー・モニタの横にモノ クロ・モニタを並べられるディスプレイ・ボード 1 枚とメインメモリ 1 個、 IBM RT 用のハードディスクを数個。 * 最低 6 ヶ月間は、プログラマやテクニカル・ライターを貸してくれる企業。真 のウィザード (達人) には短期間の方が好ましいかもしれないが、優れたプログ ラマがそれなりの価値あるプロジェクトを終了するには、最低 6 ヶ月はかかる と我々はみている。 * GNU の開発のために、FSF の後援と共に研究の援助や取りまとめに興味の ある教授。 * ドキュメントを書くのを手伝ってくれるボランティア。作業リストやコーディン グ規則については `gnu@prep.ai.mit.edu' へ問い合わせのこと。 * 音声認識/文字認識ソフトウェア (入出力装置が変なものでないもの)。できれば デバイス・ドライバも一緒に。これは、少なくとも我々の知っているプログラマ の数人(一部負傷している)の生産性の向上に役立つ。 * 今後のこの小冊子に良い記事を載せるための新しい記事やアイデア。特に、フリー に情報交換のできる組織を中心にとりあげたい。 * GNU プロジェクトや GNU ソフトウェアに関する新聞や雑誌の記事のコピーを、 この小冊子の表紙に記載されている住所へ送付するか、あるいはその引用を `gnu@prep.ai.mit.edu'へ知らせてほしい。 * 寄付金はいつでも歓迎。寄付は税控除 {注: 米国では税控除の対象となる。} の対象となる。最近の寄付でスタッフを再び拡充することができた。増員したス タッフも含めて我々は、さらに寄付金が必要である。 * 小額のお金をFSFに寄付する方法として、1〜2 本の配布テ−プの注文がある。こ の方法では税控除の目的には使えないかもしれないが、会社の経費としては妥当 な金額として支払うことはできるだろう。 フリー・ソフトウェアをサポートしてほしい **************************************** フリー・ソフトウェアを信じ、将来さらにその数を確実に増やしたい方は、 FSF へ寄付して我々の努力を支援してほしい。 あなたからの税控除対象の寄付金は、我々の最終目標を成し遂げるのに大きな力 となる。 $500 $250 $100 $50 other $______ Foreign currency:______ 該当する寄付金額を丸で囲んでこのページを、寄付金と一緒に次の住所まで送っ ていただきたい。 {Free Software Foundation, 675 Mass. Ave., Cambridge, MA 02139 USA} GNU ソフトウェアの入手方法 ************************** Free Software Foundation から配布するソフトウェアと出版物には、コピーと 配布の許可を付けて配布している。GNU ソフトウェアを入手する最も簡単な方法 は、誰か他の人からコピーさせてもらうことである。 Internetにアクセスする場合は、最新のソフトウェアを anonymous FTPで `prep.ai.mit.edu' (IP アドレスは `18.71.0.38')マシンから入手す ることができる。詳細は `/pub/gnu/GETTING.GNU.SOFTWARE' ファイル を参照のこと。 この方法で入手できないか、あるいは我々の労力に報いるために寄付したい場合 のために、我々は複製と配布料金でもってテープを配布している (「FSF 注文票」 を参照)。 次に示すTCP/IP Internetの複数のサイトで GNU ソフトウェアを anonymous FTP で入手できるようにしている。(`ftp' プログラムでバイナリ・モードにし、 プロンプト user: に対して`anonymous' と入力し、プロンプト passwd: に対してはあなたの名前を入力する。) archie.au、ftp.eu.net、wuarchive.wustl.edu、uxc.cso.uiuc.edu、 ftp.stacken.kth.se、sunic.sunet.se、isy.liu.se、ugle.unit.no、 ftp.win.tue.nl、ftp.informatik.tu-muenchen.de、ftp.diku.dk、 utsun.s.u-tokyo.ac.jp、labrea.stanford.edu、jaguar.cs.utah.edu、 cc.utah.edu (VMS GNU Emacs)、ftp.eunet.ch, nic.funet.fi、 gatekeeper.dec.com、mango.rsmas.miami.edu (VMS GCC)、 ftp.cs.titech.ac.jp、and ftp.uu.net (`/packages/gnu'の下) SPAN ネットワークの人は rdss::corbet に問い合わせることができる。 JANET ネットワークの人は `src.doc.ic.ac.uk:/gnu' の下を参照のこと。 UUCP で入手可能な GNU プログラムがある。 Ohio州立大学で は、UUCP による方法を定期的に USENET の `comp.sources.d' に投稿してい る。また、次の人々に問い合わせると電子メイルで情報を送ってくれる。 hao!scicom!qetzal!upba!ugn!nepa!denny、uunet!hutch!barber、 uunet!src@scuzzi、in-berlin.org、james@bigtex.cactus.org、 acornrc!bob、uucp@cis.ohio-state.edu、and info@ftp.uu.net Internet でアクセスできない人は、UUCP 経由の電子メイルによる情報入 手が可能で、詳細は「フリー・ソフトウェアのサポート」を参照のこと。 現在配布可能な GNU ソフトウェア ******************************* FSF が提供する Unix ソフトウェア・ソースの配布テープは `tar'形式で 入っており、次の種類の媒体を扱っている。1600 bpi (9トラック) リール・テー プ、8mm Exabyte カートリッジ、Sun QIC-24 カートリッジ・テープ、 Hewlett- Packard (16トラック) カートリッジ・テープ、 IBM RS/6000 (1/4 インチ)カー トリッジ・テープ (RS/6000 テープには Emacs のバイナリも含む)。また、 ソース・ファイルと VMS の実行形式の入った GNU Emacs と GNU C コンパイラ 用のテープも提供している。 Unix システム用の各種9トラック・テープとカートリッジ・テープの内容は、 (RS/6000 Emacs テープ用の場合以外は) 同じで、媒体の種類だけが異なる (「FSF 注文票」を参照)。Texinfo 形式のドキュメントも含む。GNU ソフトウェ ア・テープには `texinfo.tex' と`texi2roff' の両方が入っている。 プログラム名に含まれているバージョン番号は、この小冊子の発行時点の ものである。配布テープを注文の際は、更新されているプログラムがあれば 新しいバージョンを配布する。 Emacs テープの内容 ------------------ このリリース・テープ (Emacs Tape) に入っているソフトウェアはかなり安定し ていると思われるが、いつものようにバグ報告を歓迎する。ソフトウェアによっ ては、「言語テープ」や「ユーティリティ・テープ」に入っていたものもある。 * GNU Emacs 18.58 1975 年に Richard Stallman は最初の Emacs を開発した。それは拡張性に富み、 カスタム化が可能なリアルタイム表示のエディタであった。彼が 2番目に実現し た Emacs が GNU Emacs である。(エディタで容易に統合するために) 真のLisp を提供しているUnix システム用の初めての Emacs で、拡張性に富み、MIT の X ウィンドウ・システム用の特別なインタフェースも用意されている。 強力な基 本コマンド群に加えて、その他の人気のある 3 つのエディタ (vi、EDT (DEC VMS エディタ)、Gosling (別称 Unipress) Emacs) をエミュレートするような拡 張性も備えている。GNU Emacs は、`GNU Emacs Manual' や `GNU Emacs Lisp Reference Manual'で説明されており、ソフトウェアと共に提供され る。リファレンス・カードも配布可能である。 GNU Emacs (バージョン 18.58 時点)では、次に示す多種にわたる Unix システ ム上で動作する。 Alliant、Altos 3068、Amdahl (UTS)、Apollo、AT&T (3Bマシンと7300 PC)、 Aviion、 CCI 5/32と6/32、Celerity、Convex、Digital (DECstation 3100と DECstation 5000、BSDやSystem VあるいはVMSが動作するVax)、Motorola Delta (System V/ 68リリース3)、Dual、Elxsi 6400、Encore (DPCとAPC、XPC)、 Gould、HP (9000シリーズ200/300/700/800、ただし500では動作しない )、HLH Orion 1/05、IBM (4.2とAIXが動作するRT/PC、AIXが動作するPS/2(386のみ)や RS/6000)、Integrated Solutions (Optimum Vで68020とVMEbusを使用)、 Intel 80386 (BSD、Microport、System V、XenixとPS/2(MS-DOS用については 「マイクロコンピュータ用のフリー・ソフトウェア」を参照))、 Iris (2500、 2500 Turboと4D)、LMI (Nu)、Masscomp、MIPS、National Semiconductor 32000、NCR (Tower 32)、Nixdorf Targon 31、Plexus、Pmax、 Prime EXL、 Sequent (BalanceとSymmetry)、SONY News、Stride (システム・リリース2)、 Sun (386iを含む全ての機種)、Stardent 1500と3000、Tahoe、 Tandem Integrity S2、 Tektronix (NS32000 と 4300)、Texas Instruments (Nu)、 Titan P2と P3、Ustation E30 (SS5E)、Whitechapel (MG1)。 * GNU Calc 2.02 Calc (Dave Gillespie が Emacs Lisp にて作成) は、GNU Emacs の一部として 動作し、拡張性のある高性能電卓にもなる数学ツールである。共に提供される `Calc Manual' は入門と詳細のいずれにも対応している。 Calcを単純な四 則演算の電卓としてのみ利用してもよいが、さらに、数式形式あるいは逆ポーラ ンド形式(スタックを基にしている)の入力方法の選択、対数、三角関数、金融関 数、任意精度、複素数、ベクトル、行列、日付、時間、無限大、集合、数式処理 における簡単化、微分、積分などの数式ツールとして利用可能である。 * MIT Scheme 7.0、Yale T 3.1 Scheme は Lisp の方言の一種で、簡素化して構文上のスコープ・ルールを導入 したものである。これは、MIT と他の幾つかの大学によって、学生にプログラミ ングを教える目的と新しい並列プログラムの構成やコンパイルの技法を研究する 目的のために設計された。MIT Scheme は C で記述され、多くの Unix システム 上で動作する。これは資料"Revised ^3 Report On The Algorithmic Language Scheme" (MIT AI Lab Memo 848a) に従っている。資料自体は、配布ファイルに TeX で記述されたテキスト・ファイルとして入っている。 T は Yale 大学で開発された Scheme の変形である。T は実際のプログラム開発 での使用を目的としている。実際のマシン・コードを最適化、生成するコンパイ ラが入っており、一般のプログラミング言語で書かれているプログラムの実行速 度に匹敵するほどのオブジェクト・コードの品質で実行可能なコードを生成す る。これは、BSD Vax と 680x0 システムの数機種、Sparc ワークステーション、 MIPS R2000 ワークステーション (DECstation 3100 を含む)、NS32000 マシン (Encore Multimax を含む) 上で動く。TはT言語自体で記述されているので、バ イナリ(これも含まれている) がないとブートストラップすることができないが、 使ってみれば素晴らしいものである。いくつかのドキュメント・ファイルが配布 テープに入っている。 * Texinfo 2.14、`texi2roff' 2.0 Texinfo は、ハードコピー用のマニュアルやオンライン・ハイパー形式のマニュ アル (Info と呼ばれる) に変換するユーティリティの集まりである。最新のベー タ・テスト・バージョンの Texinfo パッケージには、現在のバージョンからの 拡張部分や改良されたマニュアルが入っている。 `texi2roff' は Beverly Erlebacher が作成した。GNU Texinfo ファイル を `[gnt]roff'プログラムで出力するような形式に変換する。オプション を指定して、`-mm'、`-ms'、`-me' マクロ・パッケージを使っ た書式へ変換する。GNU ドキュメントを印字する TeX を持っていない (が、 `[gnt]roff' は持っている) 人のために、全ての Unix テープにこれが入っ ている。 * データ圧縮ソフトウェア 配布テープには、圧縮されたファイルもある。今のところ、そのファイル名には `.Z' という接尾語が付く。テープには圧縮、復元ソフトウェアが入ってい る。`compress' に関わる特許問題のために、他の圧縮アルゴリズムに切り 替えようとしている。`prep.ai.mit.edu' マシンからのオンライン配布対 象のうち、まず、新しいソフトウェアから替える予定である。各テープには圧縮 されたファイルを復元するプログラムを入れておく。 言語テープの内容 ---------------- このテープ (Language Tape) には、プログラミング言語ツールが入っている。 コンパイラ、インタープリタ、関連プログラム (字句解析、変換プログラム、デ バッガ) 等である。これらのプログラムの多くは、昔のコンパイラ・テープに入っ ていたもので、コンパイラ・テープはもはや存在しない。 * GCC 1.40 GNU C コンパイラはかなり移植性の良い最適化プログラムで、次の機能を持って いる。レジスタの自動割り当て、共通部分式の削除、ループ内の不変式のループ 外への移動、誘導変数の最適化、常数の伝搬や複製の伝搬、スタックに積んだ関 数引数の遅延回復、末尾再帰関数最適化、インライン関数の展開、フレーム・ポ インタの削除、ターゲット・マシンの仕様を記述したファイルから自動的に生成 される様々な局所最適化コード、等である。 GCC は ANSI C の規格に完全に従っている。32000 と 680x0 (68000系の CPU)、80386、Alliant、 Convex、Tahoe、Vax CPUとRISC CPUであるi860、 Pyramid、Sparc、SPUR 向けの高品質のコードを生成する。MIPS RISC CPU もサ ポートされている。こういった CPU を使うマシンには、AIX が動作する386、 Alliant FX/8、 Altos 3068、Aegis が動作する Apollo 68000/68020、AT&T 3B1、 Convex C1 と C2、DECstation 3100、DECstation 5000、DEC VAX、Encore MultiMax (NS32000)、Genix NS32000、Harris HCX-7 と HCX-9、HP-UX 68000/ 68020、BSD が動作する HP、AIX が動作する IBM PS/2、Intel 386(System V、 Xenix、BSD、ただし MS-DOS 上では動作しない)、Iris MIPS マシン、ISI 68000/68020、MIPS、NeXT、Pyramid、Sequent Balance (NS32000)、Sequent Symmetry (i386)、SONY News、Sun-2、Sun-3 (FPA オプション)、Sun-4、 SparcStation、Sun-386i がある。詳細は「プロジェクト GNU の進捗報告」を参 照。 力のあるプログラマならば、大方のアーテキクチャ用のクロスコンパイラを ほとんどのシステム上で構築できるだろう。作業の大部分は GCC 自体ではなく、 コンパイラをサポートするツールに対して費やされることになるだろう。 `GCC Manual' はコンパイラと共に提供される。このマニュアル (まだ注文 票に載っていない) は、GNU C コンパイラの起動方法、インストールの方法、新 しい CPU への移植に関して記述されている。コンパイラの新しい機能や非互換 機能について説明しているが、C 言語に馴染みのない人は C 言語に関する良書 も必要となるだろう。 * G++ 1.40.3、`libg++' 1.39.0、NIH Class Library 2.204a G++ は、C++ をコンパイルするための GCC との差分の集まりで ある。C++ は有名なオブジェクト指向言語である。`cfront' (AT&T コンパイラ) は最近ANSI とは異なってきているので、それを使わないで G++ を、作成中の ANSI 規格ドラフトにできる限り準拠させたい。ANSI から大きくそれているので、`cfront' (AT&T コンパイラ) とは互換性は考 慮しない。G++ は、`GNU G++ Users Guide' (まだ印刷、製 本していない) と共に提供される。G++ はソース・コードを高速にコンパイル し、わかりやすいメッセージを用意してGDB ともうまく連携して動く。G++ は GCC に依存するので、GCC の同じバージョンのものを用いなければならない。 GNU C++ ライブラリ (`libg++') には拡張性に富んだ C++ のクラス・ライブラリと、G++ と共に使うためのツールが入っている。 NIH クラス・ライブラリ(以前は OOPS (オブジェクト指向プログラムの支援: Object-Oriented Program Support) として知られる) は、 Smalltalk-80 のク ラス・ライブラリに似た移植性の良いクラスの集まりである。これは、NIH の Keith Gorlen が作成したもので、C++ プログラミング言語を使っている。 * GAS 1.38.1、binutils 1.9、`dld' 3.2.3、COFFサポート GNU アセンブラ (GAS) はかなり移植性の良い 1 パス・アセンブラである。 Unix の`as'より約 2 倍高速で、32x32 (32000 系の CPU)、680x0、80386、 Sparc (Sun 4)、Vax をサポートする。 `ar'、`gprof'、`ld'、`nm'、`ranlib'、 `size'、`strip' の GNU 版がある。GNUリンカ `ld' は BSD 版よりか なり速い。 多重定義のシンボルや未定義の参照部分に対して ソースの行番号を含むエラー・メッセージを表示するという GNU リンカ `ld' だけの特徴がある。 `dld' は、W. Wilson Ho が作成したダンナミック・リンカである。 `dld'ライブラリを使うプログラムは、そのバイナリの実行中に、動的にオ ブジェクト・ファイルをロードできるようになる。 全面的に COFF を置き換えれば、一連の GNU ソフトウェア・ツールを全て System V 上で動かすことができる。GNU ツールは、System V のカーネルが解釈 する COFF ヘッダーを使って BSD のオブジェクト・ファイルを操作することが 可能である。それには `robotussin' というプログラムを使って、システムの ライブラリを COFF フォーマットから GNU フォーマットに変換する。 * `flex' 2.3.7、Bison 1.18 `flex' は、Unix の `lex' (字句解析生成プログラム)とほとんど互 換性がある。Lawrence Berkeley 研究所の Vern Paxson が作成した。 `flex' は、`lex' と比べて非常に効率の良い字句解析プログラムを 生成する。 Bison はYacc と上位互換性があり、構文解析を生成する代替ソフトウェアで、 数々の特徴が備わっている。`Bison Manual' はソフトウェアと共に提供さ れる。 * `make' 3.62、GDB 3.5、`indent' 1.2 GNU `make' には独自の改良に加えて、BSD make、System V make のほとん どの特徴が備わっており、POSIX.2 上でコンパイルすることができる。並列処理 や条件実行、テキスト処理といった GNU 版独自の拡張も数多く施されている。 GNU `make' バージョン 3.62 はかなり安定している。GNU `Make Manual' もソース・ファイルと共に提供される。 GNU デバッガ(GDB) バージョン 3.5 は、BSD 4.2 と 4.3 で動作する Vax やSun (2、3、4、SPARCstation)、Altos、Convex、BSD が動作する HP 9000/370、 HP/UX が動作する HP 9000/320、(GNU や固有のオブジェクト・ファイル・フォー マットを使う) System V 386 マシン、ISI Optimum V、Utex 2.1 が動作する Merlin、SONY News、Gould NPL と PN マシン、Pyramid、Sequent Symmetry (386 ベースのマシン)、Umax 4.2 が動作する Encore マシン上で動作する。 GDB の特徴として、(立ち上がりを速くし、メモリもそれほど必要としないように するための) シンボル・テーブルの必要に応じた取り込み、コマンド行の編集、デ バッグしているプログラムの中での関数の呼び出し機能、シリアル・ラインを用い たリモート・デバッグ、値の履歴、ユーザが定義できるコマンドを追加した。 C や C++、Fortran プログラムのデバッグに用いることができる。 `GDB Manual' にはリファレンス・カードが入っている。 `indent' は、フリーに配布可能な UCB 版プログラムを GNU 版に修正した ものである。既定値で、 GNU コーディング規則に従った C ソース・コー ドへフォーマットする。しかし、オプションで指定すれば、もともとの 既定値であった形式や別の形式も可能である。 * GAWK 2.13.2、Smalltalk 1.1.1、`perl' 4.019 GAWK は System V Release 4 版の `awk' と上位互換である。 `GAWK Manual' はソフトウェアと共に提供される。 GNU Smalltalk は、移植用性の良い C で記述されたインタープリタ型オブジェ クト指向のプログラミング言語システムである。機能としては、インクリメンタ ルなガーベージ・コレクタ、バイナリ・イメージの保存機能、ユーザの記述した Cコードの呼び出しやそれに引数を渡す機能、GNU Emacs の編集モード、バイト・ コードのコンパイル状況をトレースするオプションやバイト・コードの実行状況 をトレースするオプション、各ユーザの初期化ファイルの自動ロードがある。 Larry Wall は `perl' と呼ばれる高速なプログラムを作成した。これは、 `sed'や`awk'、`sh'、C の特徴を組み合わせたものである。前述 のプログラムの機能に加えて、TCP/IP ソケットの呼び出し機能、その他の各種シ ステム・コールのためのインタフェース、C ライブラリ・ルーチンが備わってい る。 * `gperf' 2.1、`ae'、`f2c' 3.2.90 `gperf' は、完全 (perfect) ハッシュ関数のテーブル生成ユーティリティ である。実際には二つのバージョンの `gperf' があり、一つは C言語で書 かれ、もう一つは C++ 言語で書かれている。いずれも Cまたは C++ でハッシュ関数を生成する。 `ae' は GCC 用のプロファイル・プログラムで、詳細な情報を出力するこ とができる。 `f2c' は、Fortran--77のソース・ ファイルを C 言語または C++ 言語へ変換する。 * `gdbm' 1.5、`gmp' 1.2 `gdbm' ライブラリは、標準の `dbm' と `ndbm' 版の GNU 版代 替品である。`gdbm' は両方の関数形式をサポートしているが、(Unix とは 違って) データベースのファイルの中に無駄な空間を作らない。 GNU MP (`gmp') は、任意精度の符号付き整数あるいは有理数演算を行なう ライブラリである。豊富な関数が用意されており、統一されたインタフェースを すべて有している。 * `texi2roff' 2.0 と Texinfo 2.14 `texi2roff' は Emacs テープに入っているものと同じである。 ユーティリティ・テープの内容 ---------------------------- このテープ (Utilities Tape) には、 GNU プロジェクトで作成されたプログラ ム (いくつかの第三者グループによって開発されたソフトウェアを含む) が入っ ている。ほとんどは、小物のユーティリティやその他のアプリケーションから構 成されている。いつものようにバグ報告を歓迎する。これらのプログラムの多 くは、旧Emacs テープや、今や現存しないコンパイラ・テープに入っていたもの である。 * BASH 1.12、`groff' 1.05、`gptx' 0.2 GNU のシェル BASH (Bourne Again SHell) は Unix の`sh'と互換性があり、 `csh' と `ksh' の両方に拡張を施したものである。ジョブ制御機能 や、`csh' スタイル・コマンド履歴、(Emacs や `vi' モードが組み 込まれており、キーの再割り当てが可能である) コマンド行編集機能が備わって いる。BASH はほとんどのシステム上でインストールすることができる。 `groff' は文書処理システムで、 `troff'や`pic'、`eqn'、 `tbl'、 `refer'、マクロの `-man'、`-ms'、`-mm' だけでなく、 PostScript、TeX dvi 形式、タイプライタのような文字を出力 するデバイスなどの各種ドライバもある。また、Berkeley版の `-me' マク ロの修正版やX11用の `xditview' というプリビュアの拡張版も入っている。 `gptx' は `ptx' の GNU バージョンで、交互参照表生成プログラム である。機能の一つとして、`nroff' を使わないで読みやすい "KWIC"(KeyWords In their Context) を生成し、TeX互換の出力を行なうオ プションもある。 * `texi2roff' 2.0、Texinfo 2.14、`make' 3.62 `texi2roff' と Texinfo は Emacs テープに入っているものと同じである。 `make' は 言語テープに入っているものと同じである。 * `tar' 1.10、`cpio' 1.5 GNU `tar' はマルチボリュームをサポートしており、疎なファイルをアー カイブする機能、リモート・アーカイブ、アーカイブの自動圧縮/復元などをサ ポートする。とりわけ、`tar'を使ってファイル・システムの差分や全体の バックアップをとるという特徴がある。 `cpio' は、`tar' とは異なるアーカイブ・フォーマットを採用している。 * `diff' 1.15、`grep'/`egrep' 1.5、 `fgrep' 1.1、`patch' 2.0.12u6 `diff' と `[ef]grep' プログラムは、 Unix の同じ名前プログラムの GNU 版である。昔からある Unix のそれらと比較するとかなり高速に動作する。 `patch' は Larry Wall のプログラムで、`diff' の出力結果を取り込 んで元のファイルに差分情報を反映させ、パッチをあてたバージョンを 生成する。 * RCS 5.6、CVS 1.3 RCS (Revision Control System) は、大規模ソフトウェア・プロジェクトのバー ジョン制御と管理のためのプログラムである。GNU `diff' を使えば、RCS の最近のバージョンではバイナリ・ファイル(実行形式やオブジェクト・ファイ ル、8 ビットデータファイル)を取り扱うことが可能となる。CVS (Concurrent Version System) は、複数の開発者や、複数のディレクトリ、複数のグループ環 境においてソフトウェアの修正やリリースを制御する。 RCS バージョン 4 以降 の解析が最もうまく動作するが、それ以前の古い RCS フォーマットを解析する と、CVS の特徴を活かすことができない。"CVS-II: Parallelizing Software Development"、Berliner、Brian共著、Proceedings of the Winter 1990 USENIX Association Conference を参照。 * `find' 3.5、fileutils 3.2、shellutils 1.6、textutils 1.3 `find' は、会話時にあるいはシェル・スクリプト内で頻繁に用いられる。 ある基準に一致したファイルを検索し、任意の操作を行なうような場合である。 "fileutils" はファイルを扱い、次のようなものがある。 `chgrp'、 `chmod'、 `chown'、 `cp'、 `dd'、 `df'、 `du'、 `install'、 `ln'、 `ls'、 `mkdir'、 `mkfifo'、 `mknod'、 `mv'、 `mvdir'、 `rm'、 `rmdir'、 `touch'。 "shellutils" はシェルの中で使う小さいコマンドやシェル・スクリプト を集めたもので、次のようなものがある。 `basename'、 `date'、 `dirname'、 `env'、 `expr'、 `groups'、 `id'、 `logname'、 `nice'、 `nohup'、 `pathchk'、 `printenv'、 `printf'、 `sleep'、 `stty'、 `tee'、 `test'、 `tty'、 `uname'、 `whoami'、 `yes'。 "textutils" プログラムには、次のようにテキスト・データを操作する ものがある。 `cat'、 `cmp'、 `comm'、 `csplit'、 `cut'、 `expand'、 `fold'、 `head'、 `join'、 `nl'、 `paste'、 `pr'、 `sort'、 `split'、 `sum'、 `tac'、 `tail'、 `tr'、 `unexpand'、 `uniq'、 `wc'。 * Ghostscript 2.4.1、Ghostview 1.3、fontutils 0.4、 `gnuplot' 3.1 Ghostscript は GNU のグラフィック言語である。Postscript 言語とほぼ完全な 互換性を持つ (「プロジェクト GNU の進捗報告」を参照)。 Ghostview は Ghostscript インタープリタを X11 上で使うためのユーザ・インタフェースで ある。Ghostview と Ghostscript が協調して動作する。Ghostview はウィンド ウを作成し、そこで Ghostscript が描画する。 "fontutils" は Ghostscrpt あるいは TeX で使うフォントの作成が可能で ある。まずイメージを読み取り、ビットマップをアウトラインに変換する。汎用 の変換プログラムや他のユーティリティも入っている。 `gnuplot' は、数式やデータをプロットするための対話型プログラムである。 念のために、gnuplot プログラムは GNU プロジェクトで作成したものではなく、 名付けたものでもない。単なる偶然である。 * `m4' 1.0、`sed' 1.08、`bc' 1.02 GNU `m4' は、昔からある Unix のマクロプロセッサの GNU 版で、System V Release 4 とほぼ完全な互換性を持ち、さらにいくつかの拡張が施されている。 例えば、マクロに対して位置に関する引数を 9 個以上扱う。また、`m4' にはファイルのインクルードやシェル・コマンドの実行、演算機能、等を行なう 組み込み関数もある。 `sed' は `ed' の入力ストリームを操作するバージョンで、テキ ストを扱うためにある。 `bc' は会話型の任意精度の計算言語である。GNU `bc' は POSIX P1003.2 規格のドラフトに基づいて作られたものであるが、拡張が施されている。 変数名に2文字以上の指定が可能で、`else' 文があり、論理式すべてを網 羅する。 * `elvis' 1.5、`screen' 2.1c、`less' 177 `elvis' は Unix のエディタ `vi'/`ex' のクーロンである。 `vi'/`ex' の表示と行モードの両方のほとんどすべてのコマンドをサ ポートする。`elvis' は BSD、System V、Xenix、Minix、MS-DOS、Atari TOS 上で動作しているが、他のプラットホームへの移植は容易であろう。 `screen' は端末エミュレータで、 1 台の端末上で複数の論理的なスクリー ン (ttys) を扱う。生成された仮想端末ごとに、ANSI X3.64 と ISO 2022 のい くつかの機能を加えた DEC VT100 をエミュレートする。 `less' は `more' や `pg' に似ており、ページごとに読むフィ ルタであるが、ほとんどの類似品にはない様々な特徴を備えている(例えば、逆 にスクロールする機能)。 * `time' 1.3、`tput' 1.0、Termcap 1.0 `time' という関数は、(通常はシェルから) time コマンドの実現に用いら れ、1 つのプロセスのユーザ・タイム、システム・タイム、おおよその実経過時 間の統計情報を出力する。 `tput' は、特殊な端末機能をシェル・スクリプトで扱えるようにするため に、移植性の高い方法を提供する。通常の `terminfo' ではなく、 `termcap' データベースを扱う。 GNU termcap ライブラリは `libtermcap.a' の代替であり、気軽に利用す ることができる。通常の `termcap' とは異なり、`termcap' の記述 項目に大きさの制限を外した。多方面にわたって記述された Texinfo 形式のド キュメントを含む。 * MandelSpawn 0.06、GNU Chess 3.1、NetHack 3.0、GnuGo 1.1 MandelSpawn は、X ウィンドウ・システムのマンデンブローの並列プログラムで ある。 GNU チェスには、テキスト・ベースのものと X 端末のインタフェースが 入っている。NetHack は、Rogue に似たディスプレイ指向のアドベンチャー・ゲー ムである。GnuGo は囲碁 (Wei-Chi) ゲームであるが、まだ強くない。 体験テープの内容 ---------------- このテープ (Experimental Tape) には現在ベータ・テストのソフトウェアも含 む。ソフトウェアによっては既に配布テープへリリースされたものもある。冒険 好きな人に配布可能である。どうかバグ報告を適切な宛先 (テープの中の各プロ グラムの注釈に記述されている) に送っていただきたい。 * GCC 2.1 GCC バージョン 2 の新しい機能を次に示す。命令スケジューリング、ループの 展開、遅延スロットの活用、末端関数の最適化、定数との乗算最適化、基本ブロッ ク間での少しの共通部分式の削除 (CSE)。(命令スケジューリングや遅延スロッ トの活用は全てのマシン記述に用意されているわけではない。) 関数間の CSE は完成したが、組み込む前に整理する必要がある。位置独立コード生成は 88000 と Sparc をサポートする。まもなく 680x0 もサポートする予定である。 また、GCC 2 では、64 ビット演算のコードも生成可能になっている ( `long long int' と入力する)。バージョン 1 でサポートしているほと んどのマシン・コードを生成する。さらに、IBM RT/PC や IBM RS/6000、 Motorola 88000、Acorn RISC マシン、AMD 29000、HP-PA (700 あるいは 800) もサポートしている。IBM 379 や Intel 960、NCUBE への移植も進んでいる。バー ジョン 2 では、適切なアセンブラがあれば a.out や COFF、Elf、OSF/Roseファ イルを生成することができる。デバッグ情報も次に示すいくつかの形式で生成可 能である。BSD stab や COFF、 ECOFF、stab 付きの ECOFF、Dwarf (RS/ 6000 用のデバッグ情報はまだサポートしていない)。 バージョン 1 のマシン記述を全て更新したわけではないので、機種によっては 動作しないものもある。その他のものは、命令スケジューリングや遅延スロット の特徴を活かす作業が必要である。(Tron 向けの新しい移植と同様) Pyramid や Alliant、Tahoe、Spur 用の古いマシン記述の作業は行なっていない。しかし、 その作業を行ないたい人のために配布の中にそれらをまだ入れてある。 バージョン 2 では、新しいコンフィギュレーションの方法を採用し、クロスコ ンパイラを作成する場合は、ホスト・マシンと同じ機種のターゲット・マシン用 のコンパイラを作成する場合と同様の手間で容易に行なうことができる。また、 より一般的な呼び出し形式もサポートする。引数を「参照渡し」にし、スタック 上に引数の場所を予め確保しておくことができる。Sparc マシン上では、構造体 の引数を扱う場合の標準的な方法を採用している。構造体を返す値についてはま だ問題がある。幸い、じきに修正される予定である。 バージョン 2 のコンパイラは、3 つの言語 (Objective C、C、C++) をサポー トする。ソース・ファイル名から言語を選択するようになっている。(Objective C のフロントエンドは NeXT 社から寄付された。) Objective C プログラムの実 行に必要な実行時ルーチンの作業はだいぶ進んでいるが、まだ配布することはで きない。 C 言語は拡張され、関数の入れ子や、関数間の goto、ラベルのアドレスの取 得をサポートする。 * GDB 4.5 GDB 4 には、3.5 (現在のリリース・テープのバージョン) 以降の多くの新しい 機能が入っている。例えば、シリアル・ラインや TCP/IP 上のリモート・デバッ グ、ウォッチ・ポイント、読みやすい出力や簡単化したコマンド・インタフェー ス、多くのバイナリ形式のサポート (BFD を使って)、C++ 用の制限付き デバッグ (GCC バージョン 2 を使った場合)、Modula-2 用の基本的なデバッグ 機能のサポート (このコンパイラは New York 州立大学 Buffalo 校で開発され、 その他のバージョンの GDB では動作しないだろう)、SunOS 共用ライブラ リを使ったプログラムやコア・ファイルのデバッグ機能、等である。 GDB 4 は、クロスデバッグも可能である。あるプラットホームをターゲットにす るというのは、そのマシン上で対象プログラムを実行し、クロスデバッグが可能 ということである。GDB 4 で与えられたプラットホームをホスト・マシンにする と、その上で作成することは可能だが、必ずしも対象プログラムをデバッグする ことができるとは限らないことを意味する。GDB 4 は次に示すマシンをサポート する。 * ターゲットとホスト: Amiga 3000 (Amix)や DECstation 3100 と 5000、HP 9000/370 (BSD)、IBM RS/6000(AIX) Motorola Delta 88000 (System V)、NCR 3000 (SVR4)、SGI Iris (Irix V3が動作するMIPS)、SONY News (NEWS OS 3.x)、Sun-3、Sun-4、 Ultracomputer (Sym1 が動作する 29k)。 * ターゲットのみでホストにはならない: i960 Nindy、AMD 29000 (COFF あるいは `a.out')。 * ホストのみでターゲットにはならない: Intel 386 (Mach)、IBM RT/PC。 さらに、DEC を含むほとんどのベンダーが使うコンパイラで生成されるシンボル・ テーブルを GDB 4 ならば解釈することができる。(このシンボル・テーブルは、 他ではどこでも使っていない形式ではあるが。) G++ のデバッグに関し ては、まだ問題がある。GDB 4 は、G++ 1 のどのバージョンとでもうま く動作しないだろう。 * BFD BFD (Binary File Descriptor: バイナリ・ファイル記述) ライブラリは、 Cygnus ソフトウェアからリリースされており、一連のライブラリを使うと、異 なるオブジェクト・ファイルを透過的に扱えるようになる。あるGNU ソフトウェ アでは、これを使うように変更している。ドキュメントが共に提供されている。 * GNU C Library 1.03 ライブラリは ANSI C と POSIX.1 に従っており、POSIX.2 ドラフト 11.2 で提 案されたほとんどの関数を備える。4.3 BSD C ライブラリと上位互換で、 System V の多くの関数を含み、さらに GNU の拡張が施されている。 4.3 BSD が動作する HP 9000/300 シリーズと、Sun-3 と Sun-4 の SunOS 4.1 上で動作する。i860 クロス開発システムで作成することに成功した。移植は難 しくない。 * libg++ 2.0 これは GCC バージョン 2 用の GNU C++ ライブラリである(libg++の詳 細は「言語テープの内容」を参照)。最新バージョンは、自分で自動的にコンフィ ギュレーションを行なう。従って、多くのホスト・マシンで抱える問題を解決す る。iostream の機能も改善された。 * GNU Graphics 0.17 「プロジェクト GNU の進捗報告」を参照。 X11 テープの内容 ---------------- X11 テープには 2 種類あり、いずれも MIT の X ウィンドウ・システムのバー ジョン 11 リリース 5 が入っている。1 番目の FSF テープには、コアのソフト ウェアやドキュメント、寄付されたクライアントが入っている。 FSF では、X の起動やX 上での GNU Emacs の実行に必要なので、「必要な (required)」X テー プを 1 番目のテープとしている。2 番目の「オプションの」FSF テープには、寄 付されたライブラリやその他のツールキット、Andrew ソフトウェア、ゲーム、 その他のプログラムが入っている。 Berkeley Networking 2 テープ ---------------------------- Berkeley "Net2"リリースには 4.3 BSD の 2 番目の配布が含まれており、 4.3BSD-Tahoe や 4.3BSD-Reno よりも新しい。ほとんど全ての BSD を含むが、 一部のカーネルのモジュールやライブラリが欠けている。今使っているあなたの C ライブラリでは用意されているかもしれない。このリリースには、以前のリリー スよりさらに多くのソフトウェアを含み、サードパーティのソフトウェアも入っ ている。例えば、Kerberos や GNU ソフトウェア (例えば、BSD の標準コンパイ ラとして採用している GCC) などである。カーネル以外で欠けているソフトウェ アの代替は、GNU プロジェクトがこの他の GNU 配布テープで提供している。 VMS Emacs とコンパイラ・テープ ------------------------------ FSF では 2 種類の VMS 用テープを提供している。一つは GNU Emacsエディタだ けが、もう一つには GNU C コンパイラや Bison (GCCのコンパイルに必要)、 `gas' (GCCの出力のアセンブルに必要)、ライブラリ、インクルード・ファ イルが入っている。VMS に GDB を移植したという話は聞いていない。DEC VMS C コンパイラにはいくつかのバグがあって GNU C をコンパイルすることができな いので、いずれの VMS 用テープにも、ブートストラップすることができるよう に実行可能ファイルが入っている。 さらに VMS サポートに努力するように言わないでほしい。GNU プロジェクトに とっては周辺作業だからである。 マイクロコンピュータ用のフリー・ソフトウェア ******************************************** FSF ではマイクロコンピュータ用の GNU ソフトウェアをサポートしない。GNU プロジェクトの目標ではないからである。しかし、それを行なっているグループ の情報を快く提供する。何か関連情報があれば、郵送先の住所、アーカイブ・サ イト、メイリング・リストを含む詳細を `gnu@prep.ai.mit.edu' まで電 子メイルで、あるいは表紙の住所まで手紙で教えてほしい。 このマイクロコンピュータ用のフリー・ソフトウェアについて Free Software Foundation に問い合わせないこと。FSF では保守していないし、これ以上の情 報はないからである。 * Appleコンピュータ用の GNU ソフトウェア Macintosh に漠然と似た振舞いのユーザ・インタフェースのプログラムの作成を 中止させるために、Apple 社は訴訟によって権利を主張している。裁判で Apple 社が勝てば、世間に新しい権力を主張するだろう。フリー・ソフトウェアの世界 の終わりをもたらすかもしれない。Apple 社がこういった独占を続ける限り、 Appleコンピュータのあらゆるサポートは行なわない。 * Boton Computer Society BCS(Boston Computer Society) にはマイクロコンピュータ用の数千ものシェア ウェアやフリー・プログラムがあり、GNU プログラムも入っている。自分のマシ ン用にどんなプログラムが配布されているかを知りたい場合は、次の住所に連絡の こと。Boston Computer Society, 1 Kendall Square -- Bldg 1400, Cambridge, MA 02139 USA。 電話番号: (61700) 252-0600。 * Amiga 上の GNU ソフトウェア Amiga 用に多くの GNU プログラムが移植されており、`ftp' で次のサ イトから anonymous FTP で入手可能である。 `karazm.math.uh.edu'(アメリカ) の `/pub/Amiga/Gnu'、 `titan.ksc.nasa.gov'(アメリカ) の `/pub/amiga'、 `ftp.funet.fi'(ヨーロッパ)の `/pub/amiga/gnu'。 GCC の移植や関連プロジェクトの援助の申し出はLeonard Norrgard (`vinsci@nic.funet.fi') まで、GNU Emacs の移植はMark D. Henning (`henning@stolaf.edu') まで問い合わせてほしい。詳細な情報 は、`prep.ai.mit.edu' の `/pub/gnu/MicrosPorts/Amiga' から anonymous FTP で入手可能である。 Atari の TOS や Atari Minix 上に多くのGNUプログラムが移植されており、 `atari.archive.umich.edu' マシンから anonymous FTP にて入手可能であ る。そこは Howard Chu (`hyc@hanauma.jpl.nasa.gov') が管理している。 USENET のニュース・グループ `comp.sys.atari.st' や `comp.sys.atari.st.tech'では、この移植について討論している。前 者のグループへ電子メイルを出す場合は、 `info-atari16-request@score.stanford.edu' 宛てへ。 * OS/2 2.0 用の GNU C/C++ 2.1 Michael Johnson は 新しく、OS/2 2.0 用の GNU C/C++ バージョン 2.1 の 移植を終えた。単独で動作するものである。これには、C/C++ コンパイラや GNU アセンブラ、BSD C ライブラリや OS/2特有のライブラリ、ドキュメントか ら成る。anonymous FTP で、`hobbes.nmsu.edu' マシンの `/pub/os2/2.0/gnu/gcc21' ディレクトリを入手可能である。 メイリング・リストへの登録希望の旨を `os2gcc-request@charon.mit.edu' へメイルすれば、このシステムについ ての討論に参加することができる。 * Linux (386マシン用のフリーなUnixシステム) Linux (Linus Torvalds にちなんで名前が付けられた) は、フリーな Unix シス テムのクーロンであり、System V や POSIX の機能のサブセットを実現する。 Linux はまったく最初から作成され、カーネル内には独占的なコードを含まない。 非常に多くのユーティリティやライブラリは、GNU ソフトウェアを使っている。 Linux は 386/486 AT バスマシンでのみ動作する。Intel 386 以外への移植は非 常に困難であろう。カーネルで広範囲に、386 メモリ管理システムやタスク・プ リミティブを使っているからである。Linux は次のサイトから anonymous FTP で入手可能である。`tsx-11.mit.edu:/pub/linux' (アメリカ)、 `nic.funet.fi:/pub/OS/Linux' (ヨーロッパ)。 Linus に関して討論する `comp.os.linux' というニュース・グループがあ る。メイリング・リストに関する問い合わせは `linux-activists-request@niksula.hut.fi' まで。 * フリーな 386 BSD 経験のあるハッカーは、William F. Jolitz らによって移植された BSD Unix の 386 へ移植したバージョンのアルファ・テストに興味を抱くかもしれない。この カーネルは AT&T コードを含まないフリーなもので、自由に再配布可能である。 詳細な情報は `sokol@reyes.stanford.edu' から入手可能である。初 期のバージョンは安定していないので、あるシステムではブート時に問題が発生 する点に注意されたい。 * DJGPP (MS-DOS 用の GNU C/C++ コンパイラ) D. J. Delorie は、GCC/G++ コンパイラを 386 MS-DOS プラットホームに移 植した。コンパイラと一連のプログラムは、仮想記憶をサポートし 32 ビッ ト・モードで動作するコードを生成する。 DJGPP は FTP で `barnacle.erc.clarkson.edu'というサイトの `/pub/msdos/djgpp' ディレクトリから入手可能である。 `djgpp-request@sun.soe.clarkson.edu' に自分の電子メイル・ア ドレスを送ると DJGPP のメイリング・リストに参加することができる。 * Demacs (MS-DOS 用の GNU Emacs) 東田 学と平野 聡が `Demacs' をリリースした。これは GNU Emacs を 386/486 MS-DOS マシンに移植したもので、最新で最初にリリー スしたバージョンは 1.2.0 である。 Demacs は DOS 特有の機能をサポートする。例えば、バイナリやテキスト・ファ イルの変換、8 bit クリーン表示モード、80x86 ソフトウェアの割り込み を Lisp 関数 `int86' で起動する機能、ファンクション・キー のようなマシン特有の機能、ドライブ名を含むファイル名の補完、子プロセ ス (`suspend-emacs' と`call-process') などである。 `ls.exe' がなくても Dired モードは動作する。 anonymous FTP で、 `wuarchive.wustl.edu' の `/mirrors/msdos/demacs' (ア メリカ)、 `utsun.s.u-tokyo.ac.jp' の `/GNU/demacs' (日本)、 `rana.cc.deakin.oz.au' の `/pub/PC/oak/demacs' (太平 洋圏)、 `ftp.funet.fi' の `/pub/gnu/emacs/demacs' (ヨーロッ パ) から入手可能である。 * MS-DOS 用の拡張性を備えているエディタ、Freemacs 小さいがプログラミング可能な MS-DOS 用のエディタを作成した。これは多少 GNU Emacs と互換性があり、ほとんどの MS-DOS システム(8088 マシンを含む) で動作するだろう。Freemacs のユーザは、`GNU Emacs Manual' を参考と して利用できる。 anonymous FTP では `emacs16a.zip' ファイルを (`wsmr-simtel20.army.mil' マシンの `PD1:'の下)、 フロッピーの送付先は Russ Nelson (11 Grant St.、Potsdam、NY 13676、 Phone: (315) 268-6455) に、 フロッピーのフォーマット (`5.25"/360K' か `3.50"/720K') を指 定して 15 ドル (コピー費) を添えて送る。 * MS-DOS用のGNUソフトウェア Russ Nelson は GNU ソフトウェアを MS-DOS に移植し、フロッピー・ディ スクで配布している。詳細は前述の住所に問い合わせのこと。 GNU プログラムの MS-DOS への移植やメイリング・リストの情報は `info-gnu-msdos-request@sun.soe.clarkson.edu' へ連絡してほし い。 詳細な情報は `prep.ai.mit.edu' の `/pub/gnu/MicrosPorts/MSDOS' にあり、anonymous FTP で入手でき る。 謝辞(Thank GNUs) **************** 「GNU 速報」や「プロジェクト GNU の進捗報告」、「日本における GNU」、 「現在配布可能な GNU ソフトウェア」で触れた全ての人々に感謝する。 各種の貴重な援助をしてくれた MIT の 人工知能研究所と コンピュー タ・サイエンス研究所に感謝する。 寄付金や支援してくれた日本の株式会社ビレッジ・センター、 株式会社アスキー、日本 Unix ユーザ会に、そして 匿名希望の日本の GNU ユーザ からの寄付に感謝する。 引続き援助してくれた Open Software Foundation に感謝する。 オランダの Technical University of Eindhoven に感謝する。 Karl Berry と Kathryn Hargreaves にコンピュータを使わせてくれたボストン の University of Massachusetts (特に Rick Martin) に 感謝する。 Tom Lord を支援してくれた Chris Thyberg と Carnegie-Mellon University に感謝する。 MS-DOS を使って助力してくれた Jim Mochel に感謝する。 BASH の改良に関する作業を引続き行なってくれた Chet Ramey に感謝す る。 1 台の X 端末の貸与と Joe Arceneaux の支援をしてくれた Lucid, Inc. に感謝する。 校正やその他の助力をしてくれた Carol Botteron に、そして日本で寄付金 や認識を高めながら貴重な手伝いをしてくれた引地美恵子と 引地信之 に感謝する。 各種プログラムを引続き改良し、その他にもいろいろな方法で GNU プロジェクトを支援してくれた Cygnus Support に感謝する。 我々にマシンを貸与または寄付してくれた次の人々や企業に感謝する。 Hewlett-Packardは2台の80486マシンに6台の68030ワークステーション と4台のSpectrumワークステーションを、 Thinking Machines Corp. の Brewster Kahleは4台のSun-4/110を、 AT&Tベル研究所のDoug Blewettは2台のConvergent Miniframeを、 CMUのMachプロジェクトはSun 3/60を、 Intel Corp. は自社の386マシンを、 NeXTはNeXTワークステーションを、 MITの メディア研究所 はHewlett-Packard 68020マシンを、 ソニー株式会社 (東京) と株式会社SRA (東京) は3台のSONY News ワークステーションを、 IBM Corp. は1台のRS/6000マシンを、 MITのコンピュータ・サイエンス研究所はDEC Microvaxを、 Open Software FoundationはCompaq 386を、 Delta Microsystemsは1台の Exabyte テープ・ドライブを、 匿名提供者が5台のIBM RT マシンを、 Liant Software Corp. は 5 台の VT100を、 Jerry Peek は 1 台の 386 マシンを、 NCD Corporation は 1 台の X 端末を、 Interleaf, Inc. と Veronika Caslavsky、Paul English Cindy Woolworth、Lisa Bergen は 1 台のスキャナの貸与を。 移植や拡張部分に貢献してくれた人々に、ソース・コードやドキュメンテーショ ン、良いバグ報告に貢献してくれた人々に感謝する。寄付金の送付や援助を申 し出てくれた人々に感謝する。また、マニュアルや配布テープを注文すること で支援してくれた人々にも感謝する。{GNUダイジェスト作成者謝辞: 多部数の 「GNUダイジェスト」を製本、印刷してくれた(株)ビレッジセンターの中村 満 氏に感謝する。} 本小冊子の作成でもって、我々の行なっていることに関心を示してくれた全ての 人々に対して感謝の意を表したい。 付録 日本からの GNU 情報の入手方法 ********************************** 1992年6月6日現在 FSF から配布されるソフトウェアのリストは注文票を、詳細は「現在配布可能な GNU ソフトウェア」を参照、入手方法やこの他の情報は、次を参照のこと。 バグ報告の際は、ご使用の GNU ソフトウェアのバージョン番号も必ず書き添え ること。 なお、なるべく GNU ソフトウェアの注文は直接 FSF へ発注してほしい。150 本 のテープの注文で 1 人のプログラマを 1 年間雇って、より多くのフリー・ソフ トウェアを作成することができるからである。 Free Software Foundation 675 Massachusetts Avenue Cambridge, MA 02139, USA 電話番号: (617)876-3296 * GNU ダイジェスト (本小冊子) を参照する。なお、GNU ダイジェストの定期購読希望者は、ボランティア作業のため 175 円切手 x n 回 (総額相当の切手ではなく、複数枚の 175 円切手にて) を本文連絡先の引地美恵 子まで送ってほしい。原則として電話だけの郵送希望には応じかねる。予めご了 承頂きたい。現在有効な注文票の有効期限は、1992 年 6 月 1 日から 1993 年 1 月 31 日までである。 * JUNET ニュース・グループ fj.comp.misc や fj.sources へ投稿された texinfo 形式の注文票や GNU 関連記事を参照。 * JUNET ニュース・グループ fj.sources.d から、徳川氏 (DIT) 個人の好意で 行なっている GNU ソフトウェア配布サービス情報を参照。または、GNU ソフト ウェアの anonymous UUCP サービスについては toku@dit.co.jp へ問い合わせの こと。 * JUICE というパーソナル Unix ネットワークでは、国内においてJUNETと電子メイ ルのやりとりができるので、何らかのGNU 情報を得られるだろう。 * JUG へ260 円切手 2 枚を送付する。(注: MS-DOS、OS/2、X68000 移植版の FD の配布が中心。なお、再配布用 FD の作業上の負荷から必ずしも最新版とは 限らない。) 〒154 東京都世田谷区豪徳寺 2-16-20 (ハウスようこう) JUG 事務局 * あるいは、次の所まで問い合わせる。(MO や 8mm テープでの再配布も可能) 〒102 東京都千代田区平河町 1-1-1 株式会社 SRA 引地美恵子 (引地信之) 電話番号: (03)3234-2611 (大代表) 電子メイル: h-mieko@sra.co.jp (hikichi@sra.co.jp) Free Software Foundation Order Form *********************************** 注文票は、別ファイルとして PostScript 用に fsf-order-form.psを、TeX 用に fsf-order-form.dvi が用意されている。 ---------------------------------------------------------------------- ----------------------------------------------------------------------  Tag table:  End tag table